溜め息
夕焼け空を眺め、何故か漏れ出る溜め息。
心の翳りと相対せざるを得ない憂鬱。
煙草の箱を覗き、心許ない本数を確認。
財布の中身を確認し、もう一度、溜め息。
幸せが逃げてゆくわけじゃない。
不幸が寄って来るわけじゃない。
ただ、ただ、軽い気持ちで漏らした溜め息。
絶望に暮れたつもりになれば少しは楽だから。
性行為よりも接吻が好きだと告げたことがあった。
その時、君が浮かべた失望の顔を覚えている。
そんな懐かしき思い出を振り返り、溜め息。
溜め息。
溜め息。
漏らし続けて、喘ぐ息。
送り仮名を消したら『喘息』。
咳き込みながら溜め息を漏らそうとして、失敗。
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