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2017年04月19日

醜悪こそが私の人生

 誰かに教えられた訳じゃないけれど、
 未来が不確かだって、幼い頃から知っていた。

 明日のことでさえ曖昧としている今だから、
 正直になろうと、ずっと思ってきた。

 格好つけて、着飾って、流行歌を口ずさんで笑う、
 そんな人生に憧れなかった訳じゃない。

 寧ろ指をくわえて羨んでいた。

 けれども自分の内面に目を向ければ、
 そんな生き方は肌には合わないと思ったし、
 そもそも無理だろうって、そう思っていた。

 それどころか、
 自分の中に存在する無様な側面を知れば知るほど、

 生き恥を曝しながら生きていることの方が、
 本来の姿であると心の底から思えたし。

 そして、そんな醜悪な自分を、
 心の何処かで心地よく感じている部分もあって――。

 スタイリッシュに生きられないから、
 醜い部分を拠り所にしていた。

 自分探しをするほど人生に迷っていた訳じゃない。

 逆に自分の歩む道は明確すぎるほど見えていた。

 格好良くて、誰からも憧れられる、
 そんな生き方は無理だったし、出来ないし、不可能だから。

 私は私の存在を確立するために開き直った。

『生きることは恥を曝すこと』

 そう思って。

 自分を、誤魔化し、惑わし、錯覚させて。

 醜悪こそが私の人生なのだ。

 ****

 豚が醜い容姿を曝して外を出歩いています。
 誰からも忌避されるような外見のくせに堂々と。

 だって恥も外聞も捨ててしまったから。

 ****

 豚が歪な匂いを放っています。
 不潔な身体から滲み出る、誰もが鼻をふさぐ臭気を。

 自己管理が出来ていない証拠なんです。

 ****

 豚が感情を剥き出しにして汚らしく鳴いています。
 嘲られ、罵られ、悔しくて、ただ泣きごとを漏らしている。

 威嚇にすらなれない強がりの言葉を垂れ流して。

 **** 

 豚が一丁前に愛を語っています。
 笑われていることを知っていながら、それでも。

 心の底から愛を語っている姿が滑稽すぎて。

 ****

 豚は、時々、世界を激しく愛するのです。

 豚は、時々、世界を激しく憎むのです。

 豚は、花を愛で、花を摘み、人に憧れ、人を見下して。

 豚は、己を愛して、己を憎んで、己を受け入れ、己を突き放して。

 誰かに抱かれ、誰かを抱いて、自分を傷つけ、他人を傷つけ、

 朝、起きたら死にたくなって、

 夜、寝る時に生きたいと願って、

 笑いながら裏では怒って、怒りながら裏では笑って、

 喜怒哀楽の総ての裏側が、時々、空洞になったり、

 誰かの不幸に、悲しんだり、喜んだり、嘆いたり、無感動だったり、

 そんな風だから常に気が狂いそうになるけど。
 本当は、すでに狂っているのかもしれないけれど。

 飯を喰い、排泄物を垂れ流し、
 煙草と薬で気分を落ち着かせ、

 面倒くさくて風呂には入らず、
 自分の口臭に吐き気を催して、

 セックスの時に自分の喘ぐ声が気持ち悪くて笑ってしまい、
 素っ気ない態度の裏側で、実は、激しく愛を欲していたり、

 自分の立場を弁えない、
 エゴイストで、アナーキストで、ロマンチストで、

 計算していると思っているけどツメが甘くて、
 挙げ足を取って笑っているそばから、挙げ足を取られて怒って、

 責任転嫁を繰り返し、自分の行いを棚に挙げて知らんぷりして、
 どうにもならない現実は、都合の良い妄想に逃げ込んで、

 大好きだけど『嫌い』と言ったり、
 大嫌いだけど『好き』と偽ったり、

 食欲と性欲や睡眠欲に弱いから、自分に甘くて。

 こんな自虐的な文章を書いて、
 相手の同情してもらおうとしている汚い人間なんですよ。

 私は。

 そんな誰が見ても嫌な部分を兼ね備えた私だけど、
 唯一、物を書くことで、それらが生きる瞬間があるのです。

 汚れた側面を、それでも輝かせる術が、
 文章を書くことなんです。

 人生の切り売り。

 素敵な言葉です。

 広く浅くは望まない。

 誰か一人でも心に根深く突き刺さるような物語を。


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Posted by 紫風子 at 23:15 │病 ( crazy )