2017年10月07日

枯渇

「セックスが好きなのではなく、貴方が好きなの」

 と、そんな台詞を嘯けるほど純情じゃないし。

 酸いも甘いも経験し尽くした結果、
 最後に残ったものが捌け口だけの性行だなんて、
 あまりにも悲しいかなって思っただけ。

 まぁ、やりますけど。

 道具みたいな存在は嫌だけど、
 それでも抱かれている時だけは、一応、幸せかも。

 その一瞬だけなんだけど。

 誰かの欲望を受け止めることでしか、
 自分の存在意義を実感できなかったのは確か。

 というか、それは今でもあるかもしれない。

 劣等感だらけの私は、
 好きな相手にとって都合の良い存在でしかなくたって、
 それでも裂けそうになる感情を殺して、
 一応は幸せだって思うようにしている。

 でも当然の話、本当に欲しいもの、
 それは溺れるような快楽なんかではなく。

 いや、それ自体は嫌いではないのだけれど。

 ダイレクトな快感の行きつく果てに待っているものは、
 私の場合、単なる虚無感の場合が多いわけで。

 やっぱりメンタルで満たされた果てに何があるのか、
 そっちの方を一度でいいから知ってみたい。

 ぶっちゃけ?

 愛が欲しい?

 みたいな?

 うすら寒い台詞を吐いていることは重々承知しているけれど、
 セックスの後に見え透いた優しさで場を和ます貴方の、
 本当の意味での温かさを欲するのは贅沢なのでしょうか?

 と、夕暮れ時に思う。


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Posted by 紫風子 at 16:50 │感 ( sentimental )